開発・運用を推進する人材を育て体制を構築してチーム力を上げる

 

ローコード技術を活用し内製化を進めるには、ローコードの開発スキルを組織に実装していく必要がある。しかしやるべきことが多岐にわたるため、自社だけでその取り組みを進めていくことは難しい。そこでFPTコンサルティングジャパンでは、これまでのノウハウや知見を軸に、伴走型サービスを提供している。「技術支援による人材育成のほか、内製体制の構築も支援します」と同社の今井 絢平氏は話す(図1)。

 

開発標準やガイドラインなどの制度策定、設計ノウハウ、ローコード開発のテクニカルサポートや技術要員育成などを幅広くサポート。アプリケーションの設計・開発・運用まで自走化できる体制の構築も支援する

 

同社のサービスの特徴は、開発文化までも変えていく支援を展開している点だ。「システムを小さな単位に分割して開発・実装・テストを繰り返す『アジャイル方式』、ニーズを満たす最小限の機能を開発・リリースし、フィードバックを得ながら完成度を高めていく『MVP開発』などを実践し、ノウハウの習得と定着を支援します」と今井氏は説明する。

ある建設会社では全国の施工現場映像を集中管理し、AIで分析する「現場管理システム」をMVP開発で推進。現場のニーズを反映したプロダクトを低コスト・低期間で開発した。施工現場の業務プロセスDXにより、工事管理も大幅に効率化・高速化したという。

 

独自メソッドで脱レガシーを支援AS400の移行を短期・低コストで

 

 

内製化を目指す企業の多くが、レガシーシステムの保守コスト増大という課題を抱えている。コストが膨らむだけでなく、人材の確保という面でもリスクが大きい。「IT人材は慢性的に不足している上、若手社員はレガシー資産の保守より、新たな技術を活用したDXへのチャレンジを求めているからです」と同社の田畑 昌生氏は指摘する。

レガシーのままでは早晩ビジネスは立ち行かなくなる。レガシーマイグレーションは喫緊の課題である。そこでFPTコンサルティングジャパンは、こうしたニーズに対応したソリューションも数多く提供している。「AS400移行ソリューション」はその1つだ(図2)。IBM製オフコン「AS400」上のシステムを再構築し、モダナイズする。「スクラッチ開発による再構築と比較し、5倍前後の生産性向上が見込めます」と田畑氏は語る。

 

 

ツールを使ってローコードプラットフォーム「OutSystems」のアプリケーションを自動生成する。自動化できない部分はエンジニアが開発する。データ移行、データモデルや画面の最適化、ビジネスロジックの実装などきめ細かな対応が可能だ

 

環境・交通・福祉分野を含む様々なサービスを提供する企業は、このソリューションを活用し、AS400で構築した「廃棄物総合システム」のモダナイゼーションを進めている。OutSystemsを使用してWebシステムを構築し、重複する機能は統合・再利用する。マルチデバイスへの対応や戦略的なデータ活用も目指す。

システム全体の総画面数は2000を超える膨大なもの。「まず環境・衛生・医薬分野のシステムについて再構築を実施し、画面数約300のプロジェクトをわずか4カ月で完遂しました」と田畑氏は述べる。現在は他分野のリエンジニアリングが進行中だ。プロジェクトの推進に伴って、COBOL技術者のスキルトランスファーが進み、内製体制も整いつつあるという。

 

ノーツ資産のモダナイゼーションレガシーシステムのAPI化も可能

ビジネスを支えるグループウエアとして利用されてきた「Lotus Notes(ロータスノーツ)」のモダナイゼーションを実現する「ノーツ移行ソリューション」もある。

FPTコンサルティングジャパンは多くのノーツ移行を支援しており、独自のメソッドやツールを有している。ノーツ移行ソリューションはこれらを活用し、リスクの少ない確実な移行を実現する。

まず現状のアセスメントを行った上で要件を定義。次に「FPTノーツ移行分析ツール」を使ってNotes DBの情報を抽出し、ツールによってマイグレーションを自動化できる領域と、人的に再構築が必要な領域を仕分けする。

自働化できる領域は「FPTデータ移行ソリューション」によってマイグレーションを進め、そうでない領域はローコードプラットフォームやスクラッチ開発、業務パッケージソフトなどを活用して再構築していく。新システム稼働後の運用保守もサポートするという。

ある製造業の企業では、国内・海外拠点で運用する合計5500件ものノーツアプリのモダナイゼーションに取り組んだ。「当初は全体の移行に5年を予定していましたが、ノーツ移行ソリューションを活用することで、移行期間を3年に短縮。移行対象のDBも80%削減することに成功しました」と田畑氏。新システムにはMicrosoft365とOutSystemsを採用したことで、業務DXも大きく加速した。

一方で、長くビジネスを支えてきたレガシー資産には自社の強みやナレッジが集積されている。これを変更することなく、難度の高い機能追加・改善をローコード側で実現し、UI/UXを向上させる手法もある。それが「UI/UX改善(メインフレーム共存)ソリューション」である。

レガシーなアプリケーションやデータベースをつなぐ多様なコネクターと、ローコードプラットフォームやクラウドサービスが提供するAPIを結び付ける。すなわちレガシーシステムをAPI化するわけだ。「基本的にレガシーシステムには手を加えないため、時間とコストを低減し、かつ低リスクでモダナイゼーションを実現できます」と田畑氏はメリットを述べる。

今後も同社では多様なレガシーシステムのマイグレーションと内製体制の構築を伴走支援し、脱レガシー後のDXまで見据えた変革をサポートしていく考えだ。

 

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