AMS(アプリケーションマネージドサービス)とは

AMS(アプリケーションマネージメントサービス)-メリットや提供の具体的な例を解説

AMS(Application Managed Services)とは、情報システムやアプリケーションの運用、保守、管理を、外部の専門企業に一括して委託するサービスです。AMSは、トラブル対応に加え、日常的な運用や利用者対応、セキュリティ管理、改善提案など、幅広い業務をカバーします。AMSを導入することで、企業はIT運用にかかるコストを削減しつつ、貴重な人材を戦略的な業務へと集中させることができます。さらに、専門業者の豊富な知見と経験を活用することで、システムの品質向上や運用の効率化も実現可能です。

AMOとの違い

AMSは、アプリケーションの運用・保守・改善を含む、広範な管理サービス全体を指します。一方、AMO(Application Management Outsourcing)は、これらの業務を外部に委託する行為自体に着目した用語です。AMSは、AMOの発展形ともいえ、より包括的かつ高度な支援を提供するサービスとして位置づけられています。


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AMSで行う内容

情報システムやアプリケーションの運用、保守、管理を外部の専門企業に任せているイメージ

AMSでは、アウトソーシング、運用・保守、管理、開発といった業務が提供されます。単にシステムの安定稼働を維持するだけではなく、顧客と密接に連携し、運用上の課題を解決しながら、プロセス全体の効率化を推進します。AMSに関連する業務について詳しく説明します。

アウトソーシング

AMSのアウトソーシングとは、企業が自社のアプリケーション運用・保守・管理といった業務全般を、専門知識を持つ外部のベンダーに委託することです。結果として、社内リソースを中核業務に集中させ、運用コストの削減やIT部門の効率化を実現できます。また、専門ベンダーのノウハウを活用することで、システムの安定性向上や最新技術への対応も期待できます。

運用・保守

AMSは、ソフトウェアアプリケーションの継続的な運用・保守を専門的に支援するサービスです。運用面では、アプリケーションの監視やインシデント管理、パフォーマンスの最適化を通じて、安定稼働を支えます。保守面では、設定変更や機能修正に加え、定期的なアップデートやセキュリティパッチの適用などを行い、常に最新かつ安全な状態を維持します。さらに、ユーザーからの問い合わせや操作に関する疑問、トラブルに対しても専門的なサポートを提供することで、社内ITチームの負担を軽減し、ユーザーの利便性向上にも貢献します。

AMSは、オペレーターが日々行う定型的な作業をテンプレート化・標準化することで、アプリケーションやインフラの監視、障害検知、一次対応の多くを自動化します。これにより、障害修復までのリードタイムが大幅に短縮されるだけでなく、人的作業のばらつきを抑えた安定的な運用品質を確保できます。また、定常業務にかかる工数を削減し、IT部門のリソースをより価値の高い業務にシフトさせることができます。

管理

AMSは、オンプレミスからマルチクラウド環境まで、サーバー・ネットワーク・ストレージなど複数リソースを統合的に管理します。従来の監視ツールではアラート通知後に別ツールで対応が必要でしたが、AMSでは監視画面から直接対象機器にアクセスして即時対応することができます。これにより、対応のスピードと正確性が向上し、誤操作の防止やセキュリティリスクの最小化につながります。さらに、すべての操作履歴が記録・管理されるため、高度なセキュリティと監査性を両立できます。

AMSにおける管理は、システムのアップグレードやテストなどを計画的かつ持続的に行う体制の整備が要となります。開発の各段階に応じた専門人材を配置し、業務内容に応じて柔軟に体制を調整することで、生産性と安定性を両立させます。また、品質目標の明確化と定期的な進捗評価を通じて、継続的な改善を図ることが重要です。さらに、属人化を防ぐためのナレッジ共有やツールの活用、リソースの分散確保により、長期的に信頼できるアプリケーション運用体制を構築します。

開発

AMSは、システムライフサイクル全体にわたって、包括的かつ継続的な支援を提供するサービスです。新規導入に加え、既存システムの改修やバージョンアップ、他環境への移行、日々の運用保守まで、あらゆるフェーズに対応します。

AMSにおける開発支援は、アプリケーションインフラに関する高度な専門知識と豊富な実務経験を有する技術者チームによって提供されます。これらのチームは、アプリケーションの軽微な改修や開発など、さまざまな開発プロセスに対応できる体制を整えており、リモートでの作業にも柔軟に対応可能です。導入初期の段階では、システム構成に応じた適切なサイジングの実施、パフォーマンスや可用性を考慮した非機能要件の定義、実運用を見据えた詳細な運用設計に加え、物理・仮想環境の構築、単体・結合・総合テストの実施、本番環境への円滑な移行支援など、多岐にわたる工程を一貫してサポートします。信頼性と拡張性を兼ね備えた最適なシステム基盤の構築を実現し、長期的な安定運用とビジネス成長の両立が期待できます。


AMS導入のメリット

AMSの導入により、業務全体の効率化を図ることができます。中でも、障害対応にかかる時間を大幅に短縮できる点は大きな利点です。

業務の効率向上

AMSを導入することで、IT部門の負担を軽減し、全社的な業務効率を高めることが可能です。24時間365日の監視体制と自動対応機能により、突発的な障害やトラブルにも迅速に対応できる体制が整います。担当者はその都度対応に追われることなく、本来注力すべき業務に集中できるため、定型業務や煩雑な手動作業の削減とあわせて、組織全体の生産性向上が期待できます。

コスト削減

AMSにより、人的リソースやトラブル対応にかかるコストを抑えることができます。たとえば、障害対応の自動化によって人手をかけずに処理できる体制が整うため、人的対応に伴う人件費やトラブル対応中の機会損失といった間接的なコスト削減も図れます。また、必要なタイミングで柔軟にリソースを割り当てられるため、過剰投資を防ぎ、IT運用全体のコスト最適化につながります。

ニーズに合わせた選択ができる

AMSは、運用ニーズに応じて柔軟な対応方法を選択できます。システムからの通知や報告が必要な際、電話やメール、RPAによる自動処理、SNSでの連携、直接コマンド実行、特定のアプリケーション連携、チケット管理システムへの自動起票など、幅広い選択肢から最適な方法を選べます。そのため、状況に応じた最適な情報共有とアクションが実現でき、運用の効率性と柔軟性を最大限に高めることが可能です。

安定した運用

AMSの導入により、システム運用の安定性が飛躍的に向上します。専門チームによる継続的な監視とプロアクティブな対応により、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、万一の際も迅速に解決します。結果、システムのダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスの中断リスクを低減することにつながります。常に高い稼働率を維持できるため、基幹業務に安心して集中できる環境が実現できるでしょう。


IT人材不足に対応する「運用保守」を軸としたソーシングの在り方と、FPTが提供するマネージドサービスについて動画でご紹介しています


AMSの具体的な提供例

AMSの導入で在庫管理が一元化されたイメージ

例えば、製造業では、生産管理システムの運用監視や障害対応をAMSに委託することで、24時間体制の安定稼働を維持しながら、自社エンジニアは設計や生産技術などの付加価値業務に集中できる体制を構築しています。また、流通業においては、複数店舗のPOSデータや在庫管理システムをAMSで一元的に管理することで、在庫のリアルタイム把握と在庫ロスの削減を実現しています。このように、業種・業態を問わず、AMSは柔軟に導入することが可能です。業務効率化・コスト削減・サービス品質向上のすべてに貢献するソリューションとして活用されています。


FPTのAMS支援事例

グローバル宅配企業へのSAP AMS導入支援

米国に本社を置く世界的な宅配・物流企業では、複数拠点で業務プロセスが異なり、情報の非同期や標準化の不足が課題となっていました。FPTはSAP AMSを活用し、29のアプリケーションと160のカスタムソリューションを提供。3段階のサポート体制を構築することで、業務の自動化とデータ統合を実現しました。これにより、運用コストの削減や従業員の生産性向上が図られ、グローバルな業務効率が大幅に改善されました。

欧州エネルギー企業へのSAP ERP保守支援

欧州16か国で事業を展開するユーティリティ企業では、SAP ERPの保守に年間6,000件以上の対応が必要とされていました。FPTは、FI-COやSDなど複数のモジュールに対応する専門チームを編成し、システムの安定運用を支援しました。さらに、ServiceNowを導入することで、チケット処理の迅速化とダウンタイムの削減を実現。オフショア・ニアショア・オンサイトを組み合わせたベストショアモデルにより、信頼性の高いITサポート体制を構築しました。

日本の調味料メーカーへのAMS最適化支援

SAPモジュールの導入に伴い、AMS対応に課題を抱えていた日本の老舗食品メーカーに対し、FPTはITILベースのプロセス再構築とAMSペアモデルを導入しました。これにより、安定したサービス提供と業務継続性を確保し、社内運用の効率化を実現しました。リソース配分の最適化によってコスト削減を達成し、営業プロセスの効率化と顧客満足度の向上にも貢献しました。プロジェクトでは顧客満足度100/100のスコアを獲得しています。


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まとめ

本記事では、AMSの概要や導入のメリット、具体的な提供例について詳しく解説しました。AMSは企業のIT運用を効率化し、コスト削減や業務の安定性向上を実現する、現代のビジネスに不可欠なソリューションとして注目されています。導入することで、企業は自社の貴重なリソースを戦略的なコア業務に集中させることができます。AMSは、IT運用における課題を解決し、企業の競争力を高めるための有力な手段となるでしょう。


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この記事の監修者・著者:FPTコンテンツ制作チーム

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