リモートワークという概念は、特別なものではありません。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大のだいぶ前から、企業は国境を越えたグローバルなビジネス展開を進めていました。それらの企業は、すでに多くの段階でリモートワークの必要性に迫られていました。しかし、データアクセス、セキュリティリスクおよび、オンラインによるコラボレーションといいうような点が困難なことから、企業全体の活動をモバイル作業に移行するということは難しいと考えられてきましたが、このコロナ禍において、クラウド・オフィスが活用されることになるのです。
リモートワークへの移行には、クラウドコンピューティング、仮想プライベートネットワーク、コラボレーションツールなどのいくつかの欠かすことのできない技術が必要です。これらの技術の中でクラウドサービスは、顧客データを危険にさらすことなく、企業のビジネス運営を維持する機能を提供します。
データへの容易なアクセス
多くの場合、企業はオンプレミスのデータシステムに依存しており、アクセスには内部サーバーが必要になっています。クラウドコンピューティングは、簡単にデータを保存し、データリソースにアクセスする方法を提供します。インターネット接続により、従業員は世界中のどこからでもデータにアクセスできるため、リモートでの作業が容易になり、顧客に対し迅速なサービスを提供できます。
常時データへのアクセスが可能
あらゆるビジネスにとって、データは必要な時にいつでも利用でき、中断が発生した場合でも、有効性を確認できることが最も重要です。貴重なデータをクラウドに移行することで、企業は、元のファイルのいずれかが破損、削除、または消去された場合でも、データのすべてが安全に保存され、再取得可能であることが保証されます。つまり、クラウドは、究極のファイルストレージバックアッププランとして機能し、データ損失のリスクが高く、リカバリにかかる時間とコストも高くなるオンプレミス上のデータシステムに比べると、はるかに優れたデータの安全性を提供します。
データの安全性の確保
クラウドベースのオフィスはあらゆる観点から安全性が確保されています。データファイルが暗号化されているので、企業は機密情報やファイルを権限のないユーザーから保護できます。さらに、認定されたクラウドデータセンターは、指紋ロックを含むさまざまな強固なセキュリティによって24時間365日監視されるため、一般的なデータセンターよりも、はるかに安全です。しかし、データセキュリティ違反の40%は従業員のエラーが原因で発生するため、クラウドへの移行を検討している企業は、従業員に対してデータセキュリティポリシーとトレーニングを実施する必要があります。二段階認証からフィッシング詐欺への対応まで、企業が実際にクラウドを採用する前に、従業員がクラウドで作業する準備ができていることが非常に重要です。
オンラインコミュニケーションの強化
クラウドコンピューティングの採用が近年増加するにつれ、現在のデジタルワーカーは、自分自身や顧客とのコミュニケーションやコラボレーションを行うために、多くの方法を持つことができるようになりました。クラウドベースのオフィスで働くことで、物理的な場所に関係なく、他者と一緒に作業し、プロジェクトを進行することができます。さらに、リモートワーカーは、スマートフォンやデスクトップなど、どのデバイスからでも共有ドキュメントやデータにアクセスできるので、生産性を常に維持できます。クラウド・コラボレーションは、常に生産性の向上に寄与し、そもそも複数の場所にいるチームが一緒に作業することを妨げる地理的な障壁を取り除きます。
ここまで述べてきた利点により、クラウドサービスは、新型コロナウイルスのパンデミック中はもとより、そうでないときでも、リモートワークの必要があれば確実に要求を満たします。クラウドシステムは、独立しているために、決まった設備や特別な条件を必要としません。これにより、企業はデータを保護しながら、いつでも利用することができます。同時に柔軟にリモートワークを取り入れる従業員のおかげで、業務の生産性を向上させることができます。クラウドへの移行は、特にリスク発生時のビジネスの継続性(BCP)を維持するために有効です。そして、より効率的な職場環境への変革を模索している企業にとっても検討する価値があるのです。
【Written by チャン・チャン・リン 2020年4月7日】
【Reference】
The Guardian “Amazon, Microsoft and Facebook advise employees to work from home”