前回の記事「2019年におけるAIの動向~AIに何を期待するか~」では、最新のAI動向をご紹介しました。技術トレンドをいち早く取り入れ、多くの付加価値をお客様に提供するために、このAIトレンドを深く理解するFPTは、AI人材と技術の両方に投資を行っています。クイニョンを世界のAIセンターにするという目標を掲げる戦略のなかで、FPTはベトナムのAI人材をクイニョンに集結させています。


クイニョンにおけるFPT大学

クイニョンにおけるFPT大学

 

このAI投資プロジェクトは、政府にも強く支持されており、センター建設のためにハタン川の北部貿易都市部とロンヴァン都市部(クイニョン市)において40ヘクタールの土地を付与することが合意されました。2019年5月8日に開かれた会議では、FPTコーポレーション会長であるチュオン・ザー・ビンとビンジン省人民委員会議ホー・コク・ズン議長(Ho Quoc Dung氏)は、協力して以下の実現に向けて合意しました。

(1)ビンジン省における教育

(2)技術都市の構築

(3)教育と訓練の分野における協力

(4)ビンジン省におけるインダストリー4.0向けの人材育成、電子政府の推進、スマートシティ、スマート工業団地・スマート工場などの構築

 

世界のAIセンターなぜクイニョンに?

1. 最高の地理的な位置

クイニョンは、ベトナムの中央に位置する沿岸都市であり、ビンジン省の経済・政治・文化・科学・技術・観光の中心地です。これらのことから、クイニョンは、2010年に首相直轄の第一級都市として認められ、また2015年にはラフガイド誌によって東南アジアの最高の目的地として選ばれました。

クイニョンには便利な交通システムがあります。ハノイ、ホーチミン、ハイフォンなどを結ぶ多くの航空便があり、都市間の移動が容易です。2020年には、クイニョンは国際空港に拡張する予定であり、その際、日本とクイニョンが直行便で結ばれます。

さらに、クイニョンはビーチ、娯楽施設、美味しい食事などがあり、あたたかい人間も多くいます。お客様やパートナー企業の皆様にも満足いただける土地です。

2. 数学の伝統

ベトナムでクイニョンは、数学に優れた人材が多い地域の1つであることで有名です。FPTソフトウェアの開発ビジョンでは、数学の優秀な人材がAI技術を重要な要素として位置づけています。

ビンジン省人民委員会議ホー・コク・ズン議長によると、ビンジン省はクイニョンのための新しいイメージを模索しており、科学と技術が開発の基礎として考えられています。投資家を引き付けるための政策に加えて、ビンジン省は科学・宇宙の施設、ソフトウェアパーク、研究地域などを持つ242ヘクタールの科学都市地域を設立し、世界の一流科学者を引き付けるために科学会議を開催します。

3. 優秀な人材の地

2019年以来、クイニョン大学の数学部はデータ科学の新しいトレーニングコースを開設しました。学生は2つのラボでAIとビッグデータについて研究し、高い教育レベルを実現しています。これにより、地方行政におけるAIの認識およびAI開発のために多大な投資が行われていることが分かります。

クイニョンには、AI/データ科学、ウェブ開発(Java、.Net)、組込み(C++)、モビリティ(Android)などに深く精通した人材がいます。

以下に、優れた技術エキスパートであるレ・ダク・リエム(Le Dac Liem)とリュウ・クアン・ニエン(Luu Quang Nhien)を紹介します。

リエムはFPTソフトウェアにおける高度分析のリーダーであり、クイニョンを世界のAIセンターにすることに大きく貢献しています。2017年、リエムは3名のメンバとともに、高度分析に関するパイオニアユニットの構築作業を引き受けました。2018年末までには、リエムはハノイに30名、クイニョンに15名の合計45名のメンバからなる高度分析チームを結成しました。

それだけでなく、2019年はリエムにとっては、新たな挑戦の年となります。その挑戦とは、成長率444%に相当する200名の高度分析チームを新たに立ち上げることです。このチャレンジを達成するために、リエムはハノイ、クイニョン、そして日本のメンバに分析学・機械学習・深層学習のトピックについての定期的な技術セミナーの開催などの活動を行っています。さらに、彼はハノイ工科大学、水利大学、クイニョン大学などの学生に向けたAIの関するセミナー/トークショーに参加、講演を行っています。

短期間でリエムは高いスキルを持つ高度分析チームを立ち上げ、FPTのために多くの潜在的なプロジェクトを獲得し、顧客のニーズを満たしました。2019年、このチームは、日本の大規模介護施設の健康診断を自動的に評価し、その結果を出力するAIシステムを開発しました。このモデルでは、医師および観察者の人数と検査時間の両方を減らし、それによって他の専門家の要求に対応することに役立ちました。

高度分析の人材を育成しながら、リエムはクイニョンにおけるFPTソフトウェアの地位も高めました。ベトナムの南中部地方ではFPTソフトウェアの存在により、多くの技術者や学士がベトナムでのメインキャリアを信じるようになり、科学的技術の理想を追究しています。

もう1人は、現在FPTソフトウェアのAIエンジニアであるニエンです。ニエンは初めから数学に優れた学生でした。彼はFUNiXにおけるIT研究プロジェクトに参加したクイニョン大学の最初の20人の学生の一人でした。わずか6ヶ月で、ニエンはプログラマーになる資格を得たのち、ベトナムの大手技術会社2社で働くことができました。最終的には、FPTソフトウェアを選択し、FPTソフトウェアへ多くの貢献を残しています。

ニエンはFPTソフトウェアにおいて、多くのプロジェクトに直接参加しました。グローバルITソリューション企業向けのCatia画像を分類するモデルや、日本の大手銀行とのプロジェクトでは、話す速度の測定とイントネーションの評価によるプレゼンテーションの質を評価するモデルを開発し、お客さまに大きな利益をもたらしました。

ニエンは若く熱心であり、高い能力を持っており、FPTソフトウェアの次の世代を代表する未来のAI技術の開発に貢献する重要な一員です。

 

FPTソフトウェアのAI人材と戦略

FPTソフトウェアは、FPTコーポレーションの子会社です。ベトナムに本社を置き、世界有数の技術とITサービスを提供し、売上が約20億ドル、従業員数は15,000人になります。

現在、FPTにはいくつもの研究プロジェクトがあり、大きく次の4つのグループに分けることができます。それは、自然言語処理(NLP)、ユーザー行動分析/予測システム、コンピュータービジョン、高度分析です。これらは今後の記事でご紹介します。

FPTは今までに世界中の600社を超えるお客さまにAIベースのソリューションを開発してきました。同時に、FPTは常にクイニョンにおけるAIセンターの人材の質を向上させています。弊社にはAI、機械学習、NLP、コンピュータビジョンの分野でリードする科学者の大規模な人材プールがあります。Amazon、Clouderaなどの世界有数の組織によって認定された25名の管理者、15名の博士、150名のエンジニアが、クイニョンAIセンターにチームを提供しています。さらに、工科大学、自然科学大学、MICA国際総合研究所などのベトナムの主要大学や研究センターと密接に連携しています。クイニョンAIセンターの40%のメンバは数学とITの分野で修士号を取得しています。クイニョンAIセンターの現在の70%のメンバは以下のとおりです。

  • クイニョン大学におけるトレーニング終了および卒業
  • FUNiXのIT学習コース修了(6ヶ月~1年)
  • OJT: Digital Innovation CenterとFresher Academyで開発されたAI Fresher Syllabusプログラム
  • プロジェクトへの参加

 

まとめ

クイニョンAI教育センタープロジェクトは第一段階が展開されており、多額の投資をおこなっています。このプロジェクトは2021年の第4四半期の完成および次の段階へ移行する予定です。FPTの多額の投資とクイニョンの潜在的な人材により、クイニョンは世界のAIセンターに変わっています。

FPTの最新AIプロジェクトについてはちらをご参照ください。

 

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