自動車企業の成功は、深刻な自動車産業の課題の取り組み方にかかっています。多くの課題を抱えている日本の企業は、イノベーションとトランスフォーメーションを加速するために新しいチャンスを利用しなければならないでしょう。ここでは日本の企業が抱えている課題を解決するために考慮すべきことを考えていきましょう。

 

1.自動車小売の未来に対応

インターネット上では多くの利用可能な資料があり、潜在顧客はインターネット上で数回クリックするだけで、多くの情報(オファーの比較、価格分析など)にアクセスできます。今から5年前では、顧客は車を購入する前に平均5回販売店を訪れていました。現在では顧客はインターネットにより十分な情報を持ってショールームに入り、そしてディーラーに1回のチャンスを与えます。(出典:McKinsey & Company)。

自動車関連企業は、従来の小売及び顧客アプローチに対し、イノベーションを求められています。一方で、最先端のWebプレゼンスの開発によって、直接販売やデジタル購入の体験を促進するために、オンラインプレゼンスを顧客に提供する必要があります。自動車購入者の半数は、試乗と同様の体験がある場合、オンラインで取引を行うと述べています。自動車関連企業では、物理的な試乗の代替手段としてVR技術の使用を検討することが可能です。これは車両購入の意思決定に十分な情報を提供するでしょう。

それとともに、複数のタッチポイントに魅力的でシームレスな体験と相互作用を提供することにより、ディーラーは顧客の意思決定の過程と販売後のステージに寄り添う必要があります。それにはハイテクデジタルでパーソナライズされた視覚化ツールによるブランドエクスペリエンスセンターや特定の製品を宣伝して話題を作るポップアップストアなどの革新的小売コンセプトが有効です。

 

 

2.コネクテッドカーのための技術採用

コネクテッドカー時代において車両メーカーは、従来の車両製造から焦点を移し始め、コネクテッドサービス、そしてサービスとしてのモビリティ提供方法に目を向けています。自動車がよりスマートになるための技術開発競争は、加速を続けています。しかし、自動車企業は、コネクテッドサービス構築に必要なすべての専門知識を持ちあわせているというわけではありません。自動車企業はサードパーティ製アプリを考えるかもしれませんが、自社のデータがアップルやグーグル、アマゾンなどの企業に漏れるような情報セキュリティとプライバシーの問題に直面することになります。データには貴重な価値とともに機密情報もあります。自動車の中で多くのサードパーティの技術が使われるほど、より多くのデータが失われます。これに対し、自動車企業は新興の最先端技術企業とコラボレーションする選択肢があります。

コネクテッドカープラットフォームの採用のために、OEMはテクノロジーサービスプロバイダの支援を受け積極的にイノベーションを起こすべきです。これにより設計プロセスをさらに管理することができ、その技術によって集められたデータの所有権をより拡大することができます。例えば、コンチネンタル社は特に中国でグローバルOEM向けの車載インフォテインメントシステムの開発を進めています。また、東南アジアのテクノロジサービスプロバイダであるFPTとのコラボレーションでは、ドイツの中核的企業が車両とクラウドサービス間で安定した安全なデータ交換を行う完全に統合された高品質システムの開発に成功しました。

OEMとテクノロジーサービスプロバイダ間のコラボレーションは、次世代のコネクティビティとコンピューティング技術に大きな進展をもたらすでしょう。クラウドプラットフォームへのワイヤレス接続による需要が高まっており、これらの接続をデプロイし管理するために、IT専門家、ソフトウェア開発者、エンジニアなどのチーム結成が重要です。

 

 

3.人的労力を削減する自動化の採用

日本の人口減少に伴い、熟練労働者の不足は複雑な問題であり、その取り組みには長い時間がかかります。自動車企業は、雇用の減少に伴い、作業者がより少ない労力で作業できるようにするためのソリューションを見つける必要があります。自動化を現場に取り込むことは、未熟練労働者不足の解消に役立つ可能性があり、競争上の優位性となります。また、これは新しいタイプの労働力を引き寄せる機会を作り出すことでしょう。

デロイトのレポートによると、世界の大手企業の半数以上が、データ分析、ロボット、ソフトウェアを使用した自動化プロセスの導入を始めています。現在、自動車産業に広がるロボットは最も複雑な作業にさえも対応し、人間の作業者よりも数倍も早く作業をこなしています。自動化技術と学習モジュールを組み合わせた高度なロボット工学は、これまで以上に作業を正確に遂行し、生産性を向上させます。また、データ分析を組み合わせることで、よりスマートな決定を可能にし、そしてタイムリーに活動を始動できるインサイトを得るために役立ちます。これらのすべては、人的作業の介入なしで独立して実行できます。自動化は、困難な仕事を行う熱心な労働者が不足する市場の課題に対応します。また、自動化が進むと、ビジネスに競争上の優位性が生まれ、少ない数の従業員に高い賃金がもたらされることになるでしょう。

(次記事「自動車企業とテクノロジー企業から生まれるイノベーション」)

(FPTのオートモーティブ事業はこちら)